「なんで今のファウルじゃないんだよ!」
「今の、絶対にオフサイドだろ!」
サッカーの試合中、審判の判定に納得できず、思わず熱くなってしまった経験。選手なら、誰でも一度はあるのではないでしょうか。しかし、そのイライラが、あなたの、そしてチームのパフォーマンスを大きく下げてしまっているとしたら…?
こんにちは!元高校サッカー部キャプテンで、今も週末プレーヤーとしてピッチに立つ30代のSです。僕も若い頃は、判定に熱くなり、無駄なイエローカードをもらうこともありました(苦笑)。
この記事では、僕がキャプテンとして、チームを代表して審判と対話する中で学んだ、判定にイライラせず、むしろ審判を「味方」につけるための、賢いコミュニケーション術について、僕自身の経験を交えながら徹底解説します!
なぜ審判への「抗議」は、百害あって一利なしなのか?
試合中、不利な判定が続くと、つい審判に文句を言いたくなる気持ち、痛いほどよく分かります。しかし、僕がキャプテンとして学んだ結論は、感情的な「抗議」は、チームにとって百害あって一利なし、ということです。
判定は覆らない。失うのは「信頼」と「集中力」だけ
まず、大原則として、一度下された判定が、選手の抗議によって覆ることは、VAR(ビデオ・アシスタント・レフェリー)がない限り、まずありません。それどころか、執拗な抗議は「異議」と見なされ、イエローカードの対象になるだけです。そして、失うものはそれだけではありません。
審判からの「この選手は、いちいち文句を言ってくる面倒な選手だ」というネガティブな印象、つまり「信頼」を失います。さらに、審判への不満に意識が向いてしまうことで、最も重要なプレーへの「集中力」まで失ってしまうのです。
元キャプテンが語る、チームを崩壊させる「審判への不満」の伝染
チームにとって最も怖いのが、この「審判への不満」というネガティブな感情が、ウイルスのようにチーム全体に伝染してしまうことです。一人が審判への不満を口にすると、周りの選手も「今日の審判、ひどいな」と感じ始め、チーム全体の集中力が削がれていく。
僕がキャプテンだった頃、試合中に最も警戒していたのが、この負の連鎖でした。誰かが不満を言い始めたら、すぐに「審判は気にするな!自分たちのプレーに集中しよう!」と声をかけ、その連鎖を断ち切るのが、キャプテンの重要な役割の一つでした。
「戦う相手」は、審判ではなく、相手チームである
忘れてはいけないのは、僕たちの本当の敵は、審判ではなく、目の前の相手チームだということです。審判の判定に一喜一憂し、精神的なエネルギーを浪費するのは、あまりにもったいない。そのエネルギーは全て、相手チームを倒すためのプレーに注ぐべきです。審判は、公平な第三者。彼らをリスペクトし、良好な関係を築くことこそが、勝利への近道なのです。
【元キャプテンが実践】審判を「味方」につける!賢いコミュニケーション3つのステップ
では、具体的にどうすれば審判と良好な関係を築き、判定にイライラすることなく、自分のプレーに集中できるのでしょうか。僕が実践してきた「賢いコミュニケーション術」を、3つのステップに分けて解説します。
ステップ1:試合前の準備~「リスペクト」の姿勢を最初に見せる~
審判とのコミュニケーションは、キックオフの笛が鳴るずっと前から始まっています。試合前の準備段階で、いかにして審判に「このチームは、フェアに戦う、リスペクトのあるチームだ」という印象を与えられるかが、最初の鍵となります。
なぜ「最初の挨拶」が、その日の試合を左右するのか?
審判も、人間です。試合開始前のキャプテン同士のコイントスの際、あるいは整列の挨拶の時に、しっかりと相手の目を見て、「今日はよろしくお願いします!」と、敬意のこもった挨拶ができるかどうか。この第一印象が、その日の審判との関係性を大きく左右します。
横柄な態度や、ふてくされたような表情は論外。キャプテンだけでなく、チーム全員が、審判団に対してリスペクトの姿勢を示すことが重要です。僕もキャプテンとして、試合前の挨拶は、チームの顔として、誰よりもはっきりと、そして誠実に行うことを常に心がけていました。
ルールの再確認と「基準」のすり合わせ
試合前、主審から両チームのキャプテンに対して、その日の判定の基準について簡単な説明があることがあります。「今日は、このくらいの接触では流しますよ」「スライディングタックルは厳しく見ますよ」といった内容です。
この短い時間で、その日の審判の「基準」をしっかりと頭に入れ、チームメイトに共有しておく。これが、試合中の無用なファウルや苛立ちを減らすために非常に有効です。最新のサッカー競技規則を事前に確認しておくことも、選手としての務めです。
ステップ2:試合中の対話~「抗議」ではなく「質問」と「確認」~
試合中に、どうしても判定に納得がいかない場面は訪れます。そんな時、感情的に「今のファウルだろ!」と叫ぶのではなく、冷静に、そして敬意を持って審判と「対話」することが、賢い選手のコミュニケーション術です。
元キャプテンが教える、イエローカードを貰わないための「質問」の技術
判定に疑問がある場合、キャプテン(あるいは近くの選手)が審判に近づき、冷静に「質問」するのは、ルール上認められています。しかし、そこには伝え方の技術が必要です。
- NGな聞き方: 「なんで今のファウルじゃないんですか!?」
- OKな聞き方: 「主審、失礼します。今のプレーについて、どの部分がファウルではなかったのか、後学のために教えていただけますか?」
このように、「教えてください」という謙虚な姿勢で質問することで、審判も感情的にならずに、判定の理由を説明してくれる可能性が高まります。この対話を通じて、その審判の「基準」をより深く理解することができるのです。
プレーが切れたタイミングでの「確認」と「アピール」
相手のラフプレーが続いている時なども、プレーが切れたタイミングで、キャプテンが主審に近づき、「少し相手の〇番の選手のプレーが荒いようなので、もう少し見ていただけますか」と、冷静に「確認」と「アピール」をすることは有効です。これは、感情的な抗議ではなく、試合を円滑に進めるための、キャプテンとしての正当な権利です。
ステップ3:試合後の振る舞い~勝っても負けても「感謝」を伝える~
試合が終われば、ノーサイド。どんなに不満な判定があったとしても、試合後は必ず審判団に感謝の気持ちを伝える。この振る舞いこそが、真に強いチームの証です。
なぜ試合後の「リスペクト」が、次の勝利に繋がるのか?
審判も、同じサッカーファミリーの一員です。試合後、勝っても負けても、キャプテンがチームを代表して「ありがとうございました」と挨拶に行く。その誠実な態度は、必ず審判の記憶に残ります。
そして、次の試合で同じ審判が担当になった時、「あのチームは、リスペクトのある素晴らしいチームだったな」というポジティブな印象から、試合が始まるのです。これは、目に見えない、しかし非常に大きなアドバンテージとなります。僕もキャプテンとして、試合後の挨拶は、どんな結果であれ、最も大切にしていました。
実体験:ある審判の言葉が、僕のサッカー観を変えた
高校時代、ある大敗した試合の後、僕はキャプテンとして、悔しさを押し殺して審判に挨拶に行きました。その時、主審の方が僕にこう声をかけてくれたんです。「君のチームは、最後まで諦めずに走り、仲間を励まし合っていた。
スコア以上の価値がある、素晴らしいチームだよ」。その一言に、僕は涙が止まりませんでした。審判は、ただ判定を下しているだけではない。僕たちのプレーを、その姿勢を、しっかりと見てくれているんだと。あの経験が、僕に審判へのリスペクトの本当の意味を教えてくれました。
まとめ – 審判を味方に、サッカーをもっと楽しもう!
ここまで、審判を味方につけるための、賢いコミュニケーション術についてお話ししてきました。
おさらい:審判との良好な関係を築くための3ステップ
最後に、今日お伝えした3つのステップをもう一度おさらいしましょう。
- 試合前の準備: 最初の挨拶で「リスペクト」の姿勢を示す。
- 試合中の対話: 「抗議」ではなく、冷静な「質問」と「確認」を。
- 試合後の振る舞い: 勝っても負けても「感謝」を伝える。
これらのステップを意識することで、無用なイライラから解放され、あなたはより自分のプレーに集中できるようになるはずです。こうしたメンタルコントロール術は、サッカー選手として成長するために不可欠なスキルです。
元キャプテンからあなたへ贈る、最後のメッセージ
審判は、決して敵ではありません。彼らがいなければ、僕たちは大好きなサッカーの試合をすることさえできない、大切なパートナーです。
審判をリスペクトし、賢くコミュニケーションを取る。その姿勢は、あなたのプレーを成熟させ、あなたのチームを真に強い集団へと成長させてくれるはずです。
この記事が、あなたのサッカーライフから、少しでも不要なストレスを取り除き、プレーする喜びを最大化するための一助となることを、心から願っています。